白鵬 |
横綱 |
鶴竜 |
貴景勝 |
大関 |
朝乃山 |
正代 |
大関 |
|
御嶽海 |
関脇 |
隆の勝 |
照富士 |
小結 |
高安 |
霧馬山 |
1 |
若隆景 |
大栄翔 |
2 |
阿武咲 |
輝 |
3 |
北勝富 |
琴勝峰 |
4 |
隠岐海 |
翔猿 |
5 |
妙義龍 |
宝富士 |
6 |
琴恵光 |
栃ノ心 |
7 |
遠藤 |
玉鷲 |
8 |
碧山 |
照強 |
9 |
徳勝龍 |
明生 |
10 |
竜電 |
佐田海 |
11 |
炎鵬 |
豊山 |
12 |
魁聖 |
豊昇龍 |
13 |
逸ノ城 |
琴ノ若 |
14 |
千代国 |
千翔馬 |
15 |
千大龍 |
琴勇輝 |
16 |
天空海 |
志摩海 |
17 |
ー |
1 三役争い―11枚目11勝で三役も?
正代が昇進して3枠空いた。筆頭10勝の隆の勝が新三役で関脇に。東筆頭8勝の照ノ富士が「初の」小結(新三役で関脇、2場所で大関となり、陥落後は関脇で休場して平幕落ち)。
西小結が難題。東5で9勝の霧馬山と西8で11勝の若隆景、東6で10勝の高安の比較。活躍が目立ったのは優勝争いに残った若隆景だが、再出場して3連勝の霧馬山は2大関戦(朝乃山には不戦敗)が組まれた「平幕上位」。
ちなみに11勝で三役昇進した最低番付は11枚目。8枚目以下からのラッキー昇進は珍しくない。
全く同じケースが24年1月にあり、東5枚目9勝の妙義龍が見送られ、西8で11勝の栃煌山が上がっている(西10で12勝の臥牙丸にも上回られている)。ただ、この場所妙義龍の役力士戦は関脇との1番のみ。それでも技能賞を受賞して相撲内容は評価されたが、番付編成上は優位に働かず、単純に星数で比較されたものと見られる。今回、三賞を貰いそびれた若隆景を三役に上げて帳尻を合わせたりはあるだろうか。
迷ったが、千秋楽に御嶽海を破った霧馬山のアピールが上回ると考えた。
1枚差で1勝多い高安だが、上位との対戦成績を考慮。大関との対戦がないので、この1枚差は大きいのでは、と考えられるが、そこが案外ファジーで1枚違いなら逆転、となりそうな気が。若隆景との比較も微妙なところなのだが。
2 幕内十両入れ替え
これも残り1枠がスッキリしない。
東15枚目で6勝の志摩ノ海は落とされても仕方がない成績だが、十両上位がイマイチで、11枚目で14勝の千代の国が一番手かという成績。
千秋楽の取組編成が絶妙で、10枚目で11勝の明瀬山と西6枚目で9勝の天空海、どちらもあと1つ勝てばチャンスがある対決で、天空海が勝った。東6枚目同じく9勝の千代ノ皇はやや気の毒で、上記2人の勝者を上回るには勝つしかないが、幕内最下位で給金相撲の逸ノ城との入替戦。天空海は千代ノ皇が勝てば1枠空いて、負ければ自分が上に行けるので、高みの見物だったろう。
千代ノ皇は6枚目9勝に留まり、入替戦敗退も相まって志摩ノ海残留の公算が高まった。
3 11勝の上昇枚数 ―過去10年二桁アップはなし
翔猿が14枚目で楽日決戦まで残り11勝。来場所はどこまで上がるか。過去の例を確認してみる。
中位の場合は三役手前が詰まりやすいので、4枚程度しか上がらないこともある。6枚目辺りが「貧乏神」で、2枚目どまりという結果が何度もある。運が良ければ三役昇進もあり得るが、空きがないことも多い。
しかし10枚目以下なら勝越数相当の7枚どころか、10枚近く上がっているケースが多い。勝ち越しが難しい平幕上位はエアスポットになりやすく、うまく飛び越せば大幅アップが期待できる。
さて翔猿は、予想では9枚上昇とした。今場所は6〜8枚目あたりが負け越し力士で詰まっており、その上に乗っかった。小結4勝の隠岐の海や12枚目10勝の琴勝峰より上にしても良いが、近年10枚上昇しているケースはないことから、5枚目とした。平成22年に豊真将が11勝で11枚上がったり、平成20年前後は二桁上昇も結構あるが、ここ10年ほどは控えめな上がり方をしている。
白鵬 |
横綱 |
鶴竜 |
朝乃山 |
大関 |
貴景勝 |
正代 |
関脇 |
御嶽海 |
大栄翔 |
関脇 |
|
隠岐の海 |
小結 |
遠藤 |
隆の勝 |
1 |
北勝富士 |
照ノ富士 |
2 |
玉鷲 |
照強 |
3 |
妙義龍 |
栃ノ心 |
4 |
豊山 |
霧馬山 |
5 |
髙安 |
宝富士 |
6 |
竜電 |
輝 |
7 |
碧山 |
若隆景 |
8 |
徳勝龍 |
佐田の海 |
9 |
琴恵光 |
炎鵬 |
10 |
千代大龍 |
琴奨菊 |
11 |
明生 |
琴勝峰 |
12 |
魁聖 |
阿武咲 |
13 |
阿炎 |
石浦 |
14 |
志摩ノ海 |
翔猿 |
15 |
松鳳山 |
旭大星 勢 |
16 17 |
豊昇龍 |
<ポイント>
1 3関脇?
両関脇が勝越したが、小結大栄翔が11勝。何度か書いているが、小結の11勝は据置例がなく関脇を増枠してでも上げる。ちょうど東筆頭の遠藤も勝越して詰まっていたが、小結も空けられる。
2横綱2大関しかおらず、3人が休んで千秋楽の協会挨拶の寂しかったこと。しばらく増枠し続ければいいのに。
→予想通り3関脇となった。小結で11勝以上なら昇進は維持された。
2 幕尻優勝でどこまで
1月場所徳勝龍と同じく照ノ富士が17枚目で優勝。どこにおいて良いやら。徳勝龍は西2枚目だたが、他との絡みで東2枚目に置いてみた。
→予想よりも1枚上の東筆頭に。さすがに東筆頭で勝ち越した遠藤を差し置いたり、増枠してまで小結にはしなかったが、旭天鵬や朝乃山のように中位で優勝しても三役に届かなかった頃に比べると、幕尻(17枚目)の徳勝龍や照ノ富士が前頭最高位まで上がるというのは平幕優勝の価値が見直されているのかもしれない。空きがあれば三役もあり得たのかもしれない。元祖幕尻Vの貴闘力は小結を増枠して上げていたのだから、驚きではない。
しかし、東筆頭8勝の遠藤より下だが、東2枚目8勝の隆の勝より上という微妙な位置に置いたものだ。三役が相当というのであれば、小結にすれば合点がいくが。西筆頭ではダメなのか。「幕尻の13勝Vは、西筆頭8勝と同価値」という見方ができてしまう。
3 幕内十両昇降
関脇を増やしたので、最下位が東17枚目となる。4人が陥落必至。5人目の西9勢は千秋楽勝って3勝、落ちる星ではあるが、十両5番手逸ノ城が敗れて西5で9勝となり、上がる星でもない。残留か。
→4人目までの入れ替えは順当も、5人目が予想の反対。近年、微妙なら残留の傾向があったこともあり、勢が踏みとどまると思ったが、今年はサプライズ昇進も目に付く。千秋楽の結果にやや引きずられたところがあるので、傾向と対策を練り直したい。
白鵬 |
横綱 |
鶴竜 |
貴景勝 |
大関 |
朝乃山 |
正代 |
関脇 |
御嶽海 |
大栄翔 |
小結 |
隠岐海 |
豊山 |
1 |
遠藤 |
隆の勝 |
2 |
阿武咲 |
宝富士 |
3 |
輝 |
霧馬山 |
4 |
北勝富 |
碧山 |
5 |
阿炎 |
炎鵬 |
6 |
竜電 |
照強 |
7 |
石浦 |
千代大龍 |
8 |
徳勝龍 |
勢 |
9 |
玉鷲 |
魁聖 |
10 |
栃ノ心 |
志摩海 |
11 |
佐田海 |
妙義龍 |
12 |
髙安 |
琴ノ若 |
13 |
琴奨菊 |
松鳳山 |
14 |
若隆景 |
照ノ富士 |
15 |
千代丸 |
琴勇輝 |
16 |
琴勝峰 |
琴恵光 |
17 |
錦木 |
※夏場所は中止。番付はそのまま両国開催の7月場所で使われた。
<トピックス>
朝乃山の昇進で、「横綱大関」は1場所で解消。役力士1増となり、前頭18枚目も消滅する。
<ポイント>
1 役力士の配置
先場所に続いて3力士が昇進できる。3人目は、2枚目8勝のベテラン隠岐の海が、9枚目で12勝した新鋭隆の勝を抑えて滑り込みそう。
その3人のうち、だれが関脇になるのか。隠岐の海より上位の筆頭で8勝の大栄翔と、3枚目10勝の御嶽海。ここは成績から言っても、実績から言っても、御嶽海を推すべきところか。
→予想通り御嶽海が関脇復帰。大栄翔と隠岐の海は小結に復帰した。
2 筆頭で0勝
このところ、平幕上位で0勝のまま休場する力士が続いているが、今場所はなんと大関から落ちたばかりの髙安。3枚目で未勝利の友風、琴勇輝が一気に翌場所十両に落とされている。しかし前頭筆頭の地位にある力士が、過去十両に落とされた例はない。17年の出島などは9枚下降で済んだ。同じ平幕上位でも見えない壁があるようだ。
→東13枚目。惜しい!
3 幕内十両昇降
5人が転落と想定。十両上位の好成績者が多数。東2で8勝の千代翔馬、東4枚目10勝の翔猿さえ見送られそうだ。14枚目で6勝の錦木は、残れるか。東18枚目がなくなっても、下に3枚あるから残る星だ。
→予想通り。照ノ富士が案外低く、幕尻での再入幕となった。
鶴竜 |
横綱 |
白鵬※ |
貴景勝 |
大関 |
|
朝乃山 |
関脇 |
正代 |
北勝富士 |
小結 |
遠藤 |
大栄翔 |
1 |
高安 |
隠岐の海 |
2 |
豊山 |
竜電 |
3 |
御嶽海 |
炎鵬 |
4 |
阿炎 |
徳勝龍 |
5 |
阿武咲 |
妙義龍 |
6 |
輝 |
宝富士 |
7 |
玉鷲 |
松鳳山 |
8 |
霧馬山 |
栃ノ心 |
9 |
隆の勝 |
栃煌山 |
10 |
佐田の海 |
照強 |
11 |
勢 |
千代大龍 |
12 |
魁聖 |
石浦 |
13 |
琴奨菊 |
碧山 |
14 |
剣翔 |
千代丸 |
15 |
明生 |
錦木 |
16 |
東龍 |
大奄美 |
17 |
志摩ノ海 |
琴勇輝 18
※は横綱大関
昭和57年以来の「横綱大関」が復活。大関豪栄道引退で役力士がさらに減少し、昭和の番付大削減以降平幕は最多。前頭18枚目が登場する。
<ポイント>
1 役力士の配置
西関脇と両小結が陥落。大関からの陥落もなくなったので、3人が三役に上がれる。東筆頭9勝の遠藤、東2で11勝の北勝富士。西4で13勝の正代。三役など上が詰まる地位は番付と成績の関係が普通の平幕と異なるので、どれが上位に来るか当てるのが難しいが、ここは成績順で良いのではないだろうか。
ちなみに豪栄道が引退しなかった場合の予想でも、西関脇正代、2番目の関脇に豪栄道としていた。3人とも三役昇進相当の星だし、どうせなら3小結にするより3関脇で前大関が余る形の方がしっくりくる。昇進3人とも関脇になっても良い星だが、13勝は価値がある。
→予想通りの並びとなった。
2 横綱大関の東西
両横綱のうち、横綱大関になるのはどちらか。1大関の場合は、通常東に据えるので、空位となる西大関を横綱が兼ねる必要があり、西になった方の横綱が横綱大関ということになるだろう。
今場所は両横綱とも1勝に終わったので、普通なら東西は今場所のままと思われる。ただし昨年、0勝5敗で休場した稀勢の里が全休の2横綱と入れ替わって東正横綱になるという謎編成がなされた。同じ0勝でも出場の方が価値があるという考え方らしい。であれば、1日多く出場した(負けが多い)鶴竜が東に回る可能性もあるので、入れ替えで予想した。
→西の横綱が横綱大関。1勝で並んだ両横綱は、先場所と東西はそのまま。基本通りなのだが、なぜ昨年初場所の稀勢の里が正横綱になったのか。全休の場合だけは勝ち星が並んでいても優劣があるのか。謎に謎が加わった。
3 平幕優勝力士の翌場所
平幕優勝者は、ご祝儀的に三役にしていた時代もあったが、平成24年の旭天鵬は9枚目だったにも関わらず平幕に据え置かれ、昨年の8枚目朝乃山も同様だった。
前回幕尻優勝の貴闘力は3人目の小結に昇進しているが、もはや参考にできないだろう。当時は幕尻といえども14枚目だったわけだし。西17枚目から、単純に勝越数の13枚程度上がって4枚目前後ではないだろうか。周囲の成績を勘案し、東5枚目と予想した。
→難しい下位の超好成績力士。徳勝龍は西2枚目まで躍進し、予想以上の15枚上昇。割を食ったのが竜電で、10勝したのに3枚しか上がらず東5枚目。3枚上で星2つ下の炎鵬より下に置かれてしまった。ラッキー新小結の帳尻を合わされたか。
4 幕内十両昇降
豪栄道が場所直後に引退を決めた。番付編成会議前の決定を意識したようだ。したがって来場所の番付には残らない。潔い決断のお陰で1人幕内の座を手にする力士が増える。
今場所は陥落候補が少ない。大負けの琴恵光は確実だが、中位以下で陥落相当はそれくらいで、次は西3枚目で全休の琴勇輝。同じ番付で先場所0勝で途中休場した友風は十両筆頭に落とされている。だが、来場所は東18枚目ができる。そもそも友風の陥落は酷だったが、そのお陰で幕尻に入った徳勝龍が優勝したのだから、出場できそうな力士を幕内に置くべきという考えが強まるかもしれない。琴勇輝は出場アピールすべきか?
空き枠2〜3に対し、昇進候補は、錦木、大奄美の順。これに続く2枚目8勝の琴ノ若、英乃海、13枚目13勝の照ノ富士は無理に上げる星ではないので、あえて琴勇輝を落とすこともないと考える。
→懸念どおりというべきか、予想の逆で琴勇輝転落、琴ノ若昇進となった。琴ノ若は先場所の徳勝龍が筆頭だったのに対して、絶対上げないといけない星でもない。それでも上がったのは、前頭3枚目で0勝(全休も)は転落とはっきり示したかったのだろうか。気の毒に16枚相当の降下である。そもそも公傷廃止と引き換えになけなしの定員増を図ったのだから、多少休場者への配慮として降下幅を緩和するべきところ、最近は容赦なく落とす。皮肉にも同部屋力士同士が昇降を争う形なだけに、ホープ琴ノ若もバツが悪かろう。
白鵬 |
横綱 |
鶴竜 |
貴景勝 |
大関 |
豪栄道 |
朝乃山 |
関脇 |
高安 |
阿炎 |
小結 |
大栄翔 |
妙義龍 |
1 |
遠藤 |
北勝富 |
2 |
御嶽海 |
玉鷲 |
3 |
琴勇輝 |
正代 |
4 |
隠岐海 |
炎鵬 |
5 |
明生 |
松鳳山 |
6 |
宝富士 |
栃ノ心 |
7 |
阿武咲 |
隆の勝 |
8 |
豊山 |
石浦 |
9 |
千大龍 |
碧山 |
10 |
竜電 |
輝 |
11 |
佐田海 |
千代丸 |
12 |
剣翔 |
照強 |
13 |
琴恵光 |
琴奨菊 |
14 |
東龍 |
志摩海 |
15 |
友風 |
勢 |
16 |
栃煌山 |
魁聖 |
17 |
霧馬山 |
4小結どう解体?
役力士3減だと平幕編成は混乱。
<結果>
1
予想通り、小結定数は4人から2人に収束。大関の減も合わせて役力士が3人減、平幕は3人増となり、幕尻が東16から西17に。
三役の編成は自然だが、前頭の枚数は実質1.5枚ズレが生じた。さらに中位から下位にかけて団子状態となり、見かけ上成績の割にほとんど上がらない力士、大きく落ちる力士が続出。西9、東14で各8勝の豊山、照強はそのまま。西11で9勝の千代大龍は東に回っただけ、10勝の輝も2枚上昇に留まった。
あくまで見かけ上とはいえ、1.5枚分もズレてはこうしたことも起こる。力士にとって番付は大きなモチベーションを保つ要素なので、定数を動かす場合は緩やかに運用することも一案ではないか。
2
阿炎は小結据置。構成上、それが妥当とはいえ、3場所連続小結で勝越し、2度めの9勝ながら関脇に届かず。新小結11勝の朝乃山に先を越された。高安が大関に残ってくれていれば..と恨めしいだろう。陥落した大関は原則関脇に張り出すなどの措置もありでは?
3
関脇、小結の負け越し力士はすべて平幕へ転落。小結で7勝8敗の遠藤と北勝富士の間に、2枚目で8勝の妙義龍がなぜか挟まるという編成になった。同じ地位でも正小結と2番めの小結では格差があるのか?
その他
3枚目から十両転落
東3で未勝利で休場した友風が十両に陥落。これは意外だった。幕内からの転落確実は5人いたが、十両上位の好成績者も多く、西筆頭8勝の徳勝龍は6番手で東に回るだけになるかと思われたが、友風も落として入幕させた。ありえなくもないが、西筆頭の8勝で見送りは珍しい話ではないので、無理に上げることはないと検証から漏れていた。
友風は、幕尻が17枚目まで広がったこともあり、15枚もの大幅下降となる。平成以降、前頭3枚目以内からの転落は3例目。平成28年に3枚目大砂嵐が落とされている。平成2年に栃司が2枚目の全休で落とされているが、当時は幕内定員が少なかったので、今の定数になってからは2度目。一方で、同じ28年に3枚目で全休の逸ノ城が10枚下降で済んでいる。「横綱大関と対戦する地位なら翌場所は落ちない」という説もあるが、安心はできないことが分かった。なかなか酷な話だ。
これにより、豪風、嘉風が引退しても矢後、友風と出てきて安泰と思われた尾車部屋は思いがけず幕内力士が途絶えてしまった。
異例の4小結だった九州場所。その出口がまた難しい。2関脇2小結の大原則に戻るため、どのように解体していくのか。これがずれると平幕の予想が全てズレていくので、今場所はこの三役問題にポイントを絞って解説する。
1 定数拡大後
13年ぶりに4人小結がいた九州場所。上が詰まって全員勝ち越していればともかく、負け越し2人、関脇も空きが出ているので、何らかの変動があるはず。
近年の定数厳守の方針からすると、4小結は先場所特有の事情での編成と考えられる。さて、では特段の事情がなければ2小結に戻るのか。過去の例を振り返ってみよう。
前回、18年11月は今回と同じように2人小結が増えて4小結。うち2人が勝ち越したが、2関脇も勝ち越したため小結据え置き。負け越した2人は平幕に転落。平幕上位では、東2琴奨菊、西3出島が共に10勝の星を残していたので、入れ替わって4小結を維持でもおかしくなかったが、東西の筆頭に据え置かれた。ちなみに先場所の朝乃山は西2の10勝で小結を増枠して上がっている。この時の琴奨菊の昇進見送りは三役昇進史上?に残る厳しいものだと言える。
その前の12年5月は3小結で、平幕優勝して上がった貴闘力が陥落、西小結魁皇が優勝して3関脇になり、西4玉春日(9勝)が上がって2小結に。玉春日無理に上げる星ではないが、三役定数としては維持された。優勝力士を小結に据え置くこともできず、空きが出たので補充した形。
11年11月は、4横綱3大関2関脇3小結の頭でっかちな番付。小結安芸乃島が陥落、武双山が関脇に上がって西筆頭雅山(8勝)が小結昇進。4横綱2大関4関脇2小結となり、役力士の数は維持されたが、もう一人の小結土佐ノ海は同じ10勝ながら据え置きを食らっている。西筆頭8勝が東に回るだけのケースは多数あるので、アンバランスに武双山だけ関脇にして枠を空けた意図はよくわからないが、少なくともこれだけ多かった役力士の数を減らそうというバイアスは特にかからなかったのは確かだ(雅山はこの昇進を生かして3連続二けたで大関へ)。
11年3月は2関脇4小結。2関脇は三役から転落。4小結がそろって勝越したが、11勝の安芸乃島、10勝の魁皇、9勝の出島まで関脇に上がり、8勝の栃東だけ据え置き。東筆頭貴闘力(8勝)が空いた小結に上がって翌場所は3関脇2小結と役力士が1減となった。陥落相当の力士を落とし、昇進相当の力士を上げた常識的な判断といえる。
「番付は生き物」を地で行く三役の運用。近年はある意味生き物でなかったといえるほど厳格な運用だったが、今場所の4小結は単なる気まぐれか、役力士不足を補う妙案か。大活躍の朝乃山の11勝は、平幕で止めていたら大関への足掛かりにはなり得なかったかもしれず、ひとまず成果を出した。
今回は、成績通り編成すれば自然と2関脇2小結に落ち着く。ただし、大関高安の陥落があって一気に3人も役力士が減るので、平幕の編成に無理が出てしまう。
2 阿炎、3場所連続関脇昇進ならず?
急激な役力士の減少を避けるなら、東小結9勝の阿炎を上げる手もある。そもそも小結で3場所連続勝ち越しながら新関脇になれていないのは不運だ。
特に気の毒なのは、関脇2人ががっちり固まっているのではなく、空きは出ているのに大関から毎場所落ちてきて埋まるから。全場所も書いたが、関脇を引きずり下ろせないなら諦めもつくが、大関を引きずり下ろしたせいで昇進の妨げになるのは不条理。それもまさか3場所で。
過去の例では、案外連続小結在位者は多く、麒麟児、土佐ノ海、琴光喜の5場所、稀勢の里、出島の4場所がある。よって来場所も小結でも何ら不思議ではないのだが、上記2点を勘案して3関脇とはできないものだろうか。(朝日新聞の予想では3関脇2小結)出島は4場所目も9勝で、さすがに3関脇にして昇進。
3 関脇6勝、小結7勝で三役残留
三役の枠を維持、または1減に留めるとした場合、実は誰を三役に置くかというと難しい。上がってくる方では次候補は東2妙義龍(8勝)だが、無理に上げる星でもない。関脇6勝の御嶽海が先場所優勝、3年近い連続在位の実績にものを言わせて小結で残るか、はたまた小結で7勝8敗の遠藤、北勝富士にも残留の目があるのか。
まず関脇の6勝9敗で翌場所小結に残ったのは、昭和28年1月の三根山だけ。現代の編成ではまずないと言っていい。
では小結の7勝8敗残留はというと、令和元年5月に御嶽海はじめ平成以降4例と少ないがなくはない。
ただ、無理にそういう状況を作ることはしたくないだろうから、やはり2関脇2小結に落ち着くのが自然かと思う。