平成V争い 諸要素比較

 平成の優勝争いの優勝成績、決定時、後続との差など、ファクターごとに比較して分析する。

優勝成績別分析

  合計 割合 前半 後半 主な差 決定 主展開
15-0 30 16.6 6 24 3,2・4 14 独走
14-1 72 39.8 34 38 1,2 逃切,一騎
13-2 63 34.8 39 24 1,同 一騎,競勝
12-3 14 7.7 10 4 同,1 混戦
11-4 2 1.1 1 1 大混,追込

 優勝成績とその他の要素を比較する。

 優勝成績は、最多が14勝、次いで13勝が多く、合わせて4分の3を占める。全勝は6場所に1度、つまり年1度の割合。12勝以下は10場所に1回もない。

 年代別に見ると、全勝優勝の偏りが目立つ。元年秋の千代の富士が長らく平成唯一の全勝だったが、6年名古屋の武蔵丸から3場所連続。しかし、約2年の間に4度記録した貴乃花の勢いが衰えると、今度は7年余のブランク。これを朝青龍が打ち破ると黄金時代の幕が明けた。3年で5度記録。途切れなく白鵬が量産体制に入り、以降はコンスタントに記録されている。特に日馬富士が白鵬との14戦全勝対決を制した24年7月以降の1年間は、この両者により5回も記録されている。

 結果、前期15年間の6度に対して、後期15年間は24度と4倍増。

 14勝は大差ないが少し後期が多く、その分12勝、13勝の優勝が後期は激減している。

 優勝決定は、全勝のみ14日目が最多。それ以下は千秋楽が最多で、11、12勝では決定戦になるケースが最も多い。

 優勝争いの展開は、全勝だとやはり独走になるケースが最多。14勝でも逃げる展開が最多だが、2人の争いの末に決まることも多い。13勝では、2者の一騎打ちか、一進一退の競り合いが主。12勝以下ではやはり多くの力士が最後まで可能性を残す混戦になる。

優勝成績と星の差

成績

個数 

 

11-4

2

1.1%

0

2

1.1%

12-3

14

7.7%

0

7

3.9%

1

6

3.3%

2

1

0.6%

13-2

63

34.8%

0

18

9.9%

1

37

20.4%

2

8

4.4%

14-1

72

39.8%

0

11

6.1%

1

26

14.4%

2

25

13.8%

3

10

5.5%

15-0

30

16.6%

1

4

2.2%

2

8

4.4%

3

10

5.5%

4

8

4.4%

総計

181

100.0%

 優勝成績ごとに次点との差を見ていく。

 11勝では2場所とも同点(2人、5人)。12勝は同点と1差がトントン。12勝でも半分は単独優勝というのは意外だった。13勝は1差となるのが圧倒的。決定戦になることも多い。14勝では同点から3差まで最も幅広く分布した。

 成績と差の関係で、最も多いのが13勝2敗で次点が12勝のパターン。そこそこ縺れそうな星での決着が全体の20%を占めた。次に多いのが、14勝で1差、僅差で14勝で2差、13勝での同点とそこそこレベルの高い展開が続く。この4パターンで全体の60%近く。

 最もハイレベルな、全勝力士に14勝が続くケースは4場所。14勝1敗での同点決勝は11場所。合わせて8%強の確率で14勝でも優勝を逃していることになる。

 次点の最低成績は10勝5敗。優勝力士が12勝の時に1場所だけ記録された。

星の差別

差 

0

38

21%

21

17

1

73

40%

43

30

2

42

23%

17

25

3

20

11%

7

13

4

8

4%

2

6

 星の差ごとに優勝争いの結果を見ると、1差が40%で最多。同点と合わせると60%超が僅差での決着。2差以上も40%弱となっている。ただ、1差でも早々に決まってから結果的に詰まった場合もあり、2差でも千秋楽結びの1差対決まで決定が持ち越された場合もあるので、一概に星の差イコール優勝争いの白熱具合となるわけではないことには留意する必要がある。

 それでも、平成の前半と後半で見比べると、優勝力士と次点との星の差は確実に広がっている。大差がついた場所数が倍以上になっている。